終章1 新聞奨学生の死

おそらく正常な判断能力はこの時点では全く無かったと思われる。
次年度も継続して進学するという形を取る事になるので、奨学会から次年度の奨学金の振込み通知が来た。すぐに振り込む手配をとるのだから電話で確認したいとのこと。

何もかもわからなくなっていた自分は「はい、わかりました」と言ってしまった。
つまり、事実上の奨学金80万上乗せ。総計120万の借金である。


やめられないとまらない。しょうがくせい。


仕事は全くおいつかない。周りの学生は三日で辞めていなくなる。
夏前の時点で20人近くの学生が入ってきては逃げ出していった。

借金という鎖で縛られ、逃げられない自分はただただ日々を消化するしかなかった。
一日たりとも心休まる日々は無かった。

月2日の休みの日に配る代理配達員(代配)員も2時から朝の9時まで配達をしても終わらないわけで、誰がやっても無理な仕事量を学生・専業は押し付けられていた。

ついに自分にも引導が渡されるときがきた。

所長に呼ばれ
「お前、仕事できないなら やめて異動しろ」



給料は3ヶ月目の時点で1円ももらっていない。
やむにやまれず両親から数千円の仕送りをもらっていた。