新聞奨学生の死 〜あいつ死んだよ〜

学校へは数週間に一度程度通う(といっても体調の無理をおして行くも内容が理解できずしばらくして帰るような状態)形だった。

数ヶ月ぶりに会った新聞奨学生の級友がいた。
元気だった。なんでも、二年目からは奨学生を辞めて通えるようになったらしい。今現在は夕刊業務の無いような販売店に異動になり、かなり楽な状態らしい。
家族も無理を聞いてくれたようだ。「よかったね」と言い、最近の事を聞いた。

連絡のとれない級友も何人もいた。既に奨学生を辞めて実家に帰ってしまったやつもいるらしい。級友の中でも仲の良かった吉見という女の子がいた。あいつはどうしたんだろうと思い聞いてみた。


「あいつは・・・ 死んだんだってさ」


衝撃だった。新聞奨学生の生活に耐え切れず、自ら命を絶ったらしい。
どこかのビルから飛び降りたという。


声が出なかった。ただただ、休憩室のフロアの隅で、体を折り曲げて声無き声をあげるしかなかった。

新聞奨学生とかなんだよもうわけわかんねぇ 死ねよもう」
とにかくこんな感じの言葉を口走って、きちがいのようにのたうちまわったのを覚えている。



もう本当に学校とか就職とか将来とか、何もかもがどうにもよくなってきていた。


だが新聞奨学生は 辞めたくてもやめられない。辞めるには即金で借りた学費を用意せねばならんのだ。それが用意できない以上は通いもしない学校の学費を納入して、やりたくもない新聞配達業務を年次終了まで続けなければならない。




奴隷は逃げられない。